波長が1~400nm(ナノメートル)の光線を紫外線と呼びます。細かく分ければ何万種類もありますが、大きく3つに分けて、1~230nmをUVC、230~320nmをUVB、320~400nmをUVAと名づけています。最も強力なUVCは、オゾン層に阻まれ地表に届きません。日焼けの原因となるUVBは通年地表に届きますが、日本では太陽の近づく夏場に増加します。UVAは、世界中どこでも日照があれば通年地表に届きます。この UVAは、人類が誕生するはるか昔の5億年前から地表に届いていたもので、オゾン層の破壊による紫外線の害とは無縁のものです。
また、自然光である太陽光線の紫外線は、単体ではありません。太陽光線は、大別して紫外線、可視光線、赤外線の10万種類もの波長が複合的に絡み合った光の集合体で、連続フルスペクトルと呼ばれています。この光の集合体が、波長が持つ欠点を互いにかばい合い、協力し合って生物に複合的な作用を及ぼすのです。
人工的に作った紫外線は、一つの波長しか放出しません(例えば、230nm前後のUVCを放出する殺菌灯、320nm前後のUVBを放出する日焼けマシーンetc.)。これを単独スペクトルと呼びます。単独であるため、その波長の長所と短所が顕著に現われ、場合によっては副作用があります。
ちなみに紫外線はリッター博士が発見し、英語ではUltra Violet Ray(ウルトラ・バイオレット・レイ。略してUV)と名づけられました。これには「非常に優れた光」という意味があります。