光線欠乏症

 
人類の誕生からおよそ500万年、人類の先祖に栄養失調はあっても光線欠乏症はありませんでした。
光線療法の原点である太陽光線は、天地創造の時から地球に限りない恩恵を与え、地球上の万物を造り、あらゆる生物と無生物をつなぎ物質とエネルギーを結ぶ神秘の綱です。ここから地球上のあらゆる生命誕生のドラマが生まれてきました。この生命の根源である太陽光線を、太古の時代から人類は無意識のうちに健康法として、病気の治療手段としてきました。日陰の植物に、どんなに良い肥料を与えても枯れてしまいます。同様に、人間も光線が不足すると、異常が生じ体調を壊してしまいます。
人類は一切の良薬を失っても決して絶滅しませんが、もし太陽がなくなれば一日たりとも生きることはできません。
古代人は太陽を「神」と崇め、また無心の草木にも「向日性」があり、動物は「本能」でそれを知っています。
しかし、文明の進歩は自然環境を破壊し、生命の源であるこの太陽光線の存在を脅かし、いつの間にか太陽光線の恩恵を忘れ、環境や習慣を変え、「日陰の植物のごとく」健康を蝕んできました。生命誕生の根源を純粋に考え、医学的、化学的根拠に基づき、光線の重要性を深く認識し太陽光線に最も類似したカーボンアーク灯を用いて、意図的に安全な光線を照射し生命自身が本来用いている力を高めるものが私たちの行う光線療法です。

光なければ生命なし

ドイツに【光なければ生命はない】という格言があります。地球上のすべての生態系の物質循環は太陽光線の光エネルギーに頼っています。生物的要素では、生産者である植物が光エネルギーを光合成で化学エネルギーに転換することでエネルギーを生産し、消費者である動物や分解者である微生物に食物を提供することで物質循環が行われています。非生物的要素では、水や空気も太陽のエネルギーによって蒸発し、雨となり地球を循環しています。

自然界の循環はすべて太陽で行われています。元素は消費しないが、消費したエネルギーを補っているのが太陽です。太陽光線は、1億5千万キロ離れた場所から8分20秒かけて地球に届き、地球に命と恵を与えています。
植物はこの太陽エネルギー(紫外線、可視光線、赤外線)の400分の1を利用して光合成を行なっています。
この光合成のメカニズムは、光エネルギーが関わる明反応と温度が関わる暗反応に分けられます。明反応は水を水素と酸素に分解する反応で主に可視光線の作用ですが、紫外線がないと反応は円滑に進みません。そのため植物が種を作るには紫外線が必要になります。暗反応は主に赤外線の温熱作用が影響します。また、植物も人間同様、常に病原菌の脅威にさらされています。植物も紫外線の力を借りて病原菌に抵抗する仕組みを得ています。
植物が病原菌に感染すると、植物は紫外線の光化学反応によって抗菌性物質、ファイトアレキシンと呼ばれる病害抵抗物質を生成します。また、現在植物成分でサプリメントとして利用されているファイトケミカルの殆どが、紫外線の作用で造られています。
動物にも植物同様に太陽光線の大恩で、健康を維持する仕組みが数多くあります。紫外線の光化学作用でビタミンDを始め数々の生理活性物質(数百種類)を生成し、体内の物質代謝を調整しています。可視光線は視力だけでなく、自律神経、内分泌系全般を調整し、精神面で気分を爽快にして、うつ状態を改善します。赤外線の主作用は透過性のある温熱作用で、血行を著しく促進し、ストレスに耐える能力を高めます。要するに地球上の生物、非生物すべてが太陽光線のエネルギーによって生かされているということです。

もし貴方が私たちの光線療法を日々の習慣とするなら、健康に役立つだけでなく、日頃経験するさまざまな不調を始め、生活習慣病や慢性疾患の管理においても明らかな違いを体験できるでしょう。

医学博士 宇都宮光明