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2011/10/13
 静岡グランシップ

講師
 医学博士 宇都宮 光明

化粧品による皮膚トラブル(光線との関係)

日光浴の功罪
人は有史以来、ほんのちょっと前まで、日光浴をすれば健康になれる、と誰もが信じていました。殊に20世紀の初頭に日光に含まれる紫外線がクル病を予防するビタミンDを生成することが明らかにされたため,日光浴の効能は不動のものとなり、紫外線を健康線と呼んだのです。
日光浴をすれば、気分は爽快になり、足腰は丈夫になり、ビタミンDが生成されるので生活習慣病を予防する効果があるなど、メリットは多々ありますが、同時に日焼けをします。日焼けをしない光線浴(日光浴)、例えば窓越しの日光浴で気分は爽快になりますが、紫外線が遮られるため日焼けはしません。このような日焼けしない日光浴ではビタミンDは生成されませんので、日光浴の恩恵に浴したいのなら、日焼けは避けられないのです。
しかるに昨今、日光浴の功は無視して、日光浴をしてちょっとでも紫外線を浴びて日焼けをすると、肌の老化が進み、シミ、シワ、皮膚癌の原因になるという類の話を鵜呑みにして、日光浴を避ける人がいます。何故、日光浴をして紫外線を浴びるのが“お肌の大敵”になったのか、“美白”がそんなに大切なのか、そこには化粧品による皮膚トラブルと日光浴の関わりに危機感を持った化粧品メーカーの販売戦略が関わっていると考えています。ここでその経緯を振り返って見ます。

化粧品による皮膚トラブル
日本人女性が化粧をするようになったのは、第二次世界大戦後です。その結果、化粧品の使用量の増加に比例して皮膚トラブルで悩む人が増え、昭和40年代にシミの患者は戦前の40〜50倍に激増したと言われています。そのため化粧品による皮膚トラブルが社会問題になり、化粧品公害と言われるようになったのですが、その代表的な病気が女子顔面黒皮症です。
女子顔面黒皮症はリール黒皮症とも言いますが、化粧品に含まれた粗悪な油脂や香料などが原因になって、顔面、特に前額部、頬骨部に対側性に黒褐色ないし黒紫色の網目状の色素沈着を生じる病気ですが、日光にさらされると悪化します。美しくなるために使う化粧品で顔にシミができたのですから、訴えを起こす人が出て当然でしょう。実際、昭和52年に化粧品による女子顔面黒皮症などの皮膚トラブルに苦しむ各地の主婦ら18人が原因は化粧品にあるとしてメーカー7社に対して損害賠償を求める訴訟を起こしました。巷間、化粧品公害訴訟と言われた裁判ですが、4年半にわたる法廷での争いの結果、昭和56年12月にメーカー側が化粧品アレルギーによる色素沈着症が原因と責任を認め、補償に応じたのです。
化粧品による肌のトラブルの多くはかぶれです。化粧品を使用したところが赤くなったり、かゆくなったりしますが、これをアレルギー性接触皮膚炎といいます。女子顔面黒皮症も、もともとシミになりやすい体質の人が、アレルギーの原因になるアレルゲンを含む化粧品でアレルギー性接触皮膚炎を繰り返し起こすことによって発症するとされていますが、困ったことに日光に当たると進行、悪化します。
このように化粧品に添加された油脂成分や香料が女子顔面黒皮症の原因になることが明らかになったため、昭和50年代になると化粧品の広告の文言が「何も入ってない(無添加、無香料)」と「ナチュラル(植物油脂)」になったのです。そして化粧品メーカーの広告の文言に添った品質改善の努力があって、女子顔面黒皮症は明らかに少なくなりましたが、その一方で、化粧品による顔の皮膚トラブルは日光に当たると進行、悪化するため、紫外線で日焼けすることが顔のシミ、シワの原因と紫外線に責任を転嫁する大宣伝を始める切っ掛けにもなったのです。平成になり、日焼け止めクリーム、サンスクリーンの販売が本格化します。紫外線単独なら日焼けしても皮膚トラブルの原因になることはないにも関わらず、化粧品メーカーは皮膚トラブルに化粧品が関わることは隠して、すべてを紫外線に押し付けるキャンペーンを繰り返し、サンスクリーンを使わないのは馬鹿と犬と言われる時代を演出して、紫外線による日焼けを“お肌の大敵”にすり替えたのです。
紫外線による日焼けは自然の摂理は則ったことであり、ビタミンDの生成一つをとっても紫外線の大恩に負っているのです。言うまでもなく化粧をせずに紫外線を浴びて日焼けをするのなら、肌の老化を進め、シミの原因になることは断じてありません。
この点については、未だ化粧品がなく、化粧をする習慣がなかった時代を生きた曾祖母や祖母の容貌が綺麗だったことを思い出してくれれば、容易に納得し理解して頂けると思います。

メチルパラベン騒動
化粧品メーカーは化粧した肌に紫外線が当たると、化粧品の原材料によっては肌の老化を進め、シミ、シワの原因になることは分かっていますので、原材料を吟味し改良してきたのです。その中で化粧品に欠かせない防腐剤のパラベン類は、使用実績のある成分であり、安全性が高く、危険性に関するリスク回避もし易い原材料とされていました。特にパラベン類の中のメチルパラベンは刺激が少なく、安全性は研究成績、実際の使用データから確認済みとして、パウダー類、化粧水、乳液、サンスクリーン、自然派化粧品などの品質を確保する防腐剤として使われてきました。
ところが平成17年8月25日の朝日新聞朝刊一面に、メチルパラベンに関する京都府立医大生体安全医学講座(吉川敏一教授)の研究結果が掲載されたのです。吉川教授のグループは、メチルパラベンの単体での安全性は確認されているが、実際に使われる状況、すなわち皮膚細胞に通常の使用方法で皮膚が吸収する濃度のメチルパラベンを添加し、夏の日中の平均的な紫外線量を当てると、細胞の死亡率は添加しない場合の約6%に対し添加した方は約19%、老化の元凶となる脂質過酸化物の量は約3倍になることから、メチルパラベンが皮膚の老化を進めることを確認したとして、9月にイタリアで開かれた国際抗酸化学会で発表したのです。

化粧品による皮膚トラブルのメカニズム
皮膚には手の平と足の裏を除いて全身に皮脂腺が分布しており、皮脂を分泌することで皮膚表面にバリアを作って皮膚を保護しています。通常、皮膚表面は弱酸性に保たれ、常在菌のみが成育できる環境を維持しているのです。
ところで化粧品の主な成分は油性成分と言われるもので、油脂、ワックス、ロウ、脂肪酸、アルコールなどが含まれています。化粧品は素肌につけますが、化粧品の油性成分を乳化させるために用いられるのが、混ざることのない水と油を混ぜ合わせるために使う溶剤の界面活性剤です。界面活性剤は台所用洗剤に必ず入っていますから、日常生活で馴染み深いものですが、化粧品のしっとり感を出すためには、乳化剤として界面活性剤は欠かせないものなのです。
この界面活性剤は肌を守る皮脂を流失させてバリヤを壊すのですが、これが化粧品による皮膚トラブルの主要なメカニズムとされています。すなわち皮脂のバリアのバランスが崩れたときに皮膚トラブルが起こるのです。例えば顔の場合、化粧品が関係する皮膚トラブルが最も多いことは間違いありません。

 スッピンで日光浴
昭和40年代に激増した女子顔面黒皮症は、わが国で化粧品による皮膚トラブルが社会問題になった最初のケースで、化粧品公害と言われましたが、これを切っ掛けにさまざまな対策がとられるようになり、化粧品の安全性は高まったと考えられていました。ところが今回、最も安全と信じていたメチルパラベンが皮膚の老化を進めるとする研究結果が報告されたのですから、業界に衝撃が走ったことは言うまでもありません。化粧品に防腐剤は欠かせないものであり、他に替わる適当な防腐剤がないことから、メチルパラベンは安全だとして使っているメーカーもあります。その上で、皮膚の老化を防ぎ、シミ、シワを防ぐには日光に当たらないことが基本だと、ここでも日光に責任を擦り付けています。確かに吉川教授の研究でも、日光に当たらなければメチルパラベンの単体での安全性は確認されていると報告されています。しかし一義的な責任はメチルパラベンにあるのであって、日光に全責任を押し付けるのは本末転倒と言わざるを得ません。
話を終えるに当たって強調したいことは、自然の摂理は日光を浴びることで健康を維持し、増進するように決められていることです。そこでお勧めしたいのは、スッピンで日光に30分程度当たることです。吉川教授も言われていますが、化粧をしたら直射日光は避けた方が良いでしょう。



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