日本光線療法協会 トップページ太陽光線と作用光線療法について全国の取扱店お客様の声光の医学について日本光線療法協会 お問い合せ

 2009/4/8 静岡グランシップ 講師 医学博士 宇都宮光明


 花粉症の予防・対策に光線療法が有効


自己治癒力の向上を図る光線療法

自己治癒力(自然治癒力)という言葉を西洋医学の医師から聞く機会があまりないが、光線療法を含めていわゆる民間療法の世界では日常的に頻繁に使われている。これを端的に示しているのが、医学大辞典に自己治癒力の項目がないのに、パソコンのホームページで検索すると無数に出てくることである。これは西洋医学で使われている手法が自己治癒力の向上に結びつかないためである。
西洋医学は特定病因論、人間機械論をドグマにして、診断に基づく薬物療法、手術療法、放射線療法の三大療法を中心に進歩した。このように診断によって異なる手法を特異的治療法と呼ぶ。この治療法は外因が明らかな疾病や対症療法で優れた効果を挙げているが、ヒトが本来持っている自己治癒力を軽視し、体調がちょっと悪いとすぐに西洋医学に頼る習慣を作りあげてしまった。花粉症について述べれば、未だに内因、すなわちアレルギー体質に対する治療法はなく、対症療法しかないため、毎年同じ症状を繰り返すのである。
これに対し光線療法は、光線という限られた手法を用いて健康を求める人からさまざまな慢性病の病人を対象にする経験的、実証的な治療法であり、非特異的治療法と呼ばれる範疇に属する。花粉症の場合、自己治癒力の根幹をなす自己防衛機能の免疫応答を調整して生活の質を保つ全体的包括的な全人的療法である。言うまでもないが、花粉症の症状が改善するのは、クライアントの内因に作用して免疫応答を正しい姿に戻した結果と見なすのでなければならない。

■花粉症患者が増加した理由

花粉症だけでなく、アレルギー性疾患は増加しており、特に先進国に於いて顕著である。わが国で花粉症(枯草熱)に罹患する患者は今次大戦前には極めて稀であったが、昭和40年代に入ってから増加の一途をたどり、今では杉花粉症だけでも人口の20%とされている。特に都市部で患者が急増しているが、戦後に杉の人工林が急増し、その大半が開花して花粉を飛散する樹齢30〜40年になったことと、地表がアスファルト舗装のため花粉が遠くまで飛ぶためとされている。
花粉症のようなアレルギー性疾患が増加した理由として、食事の西欧化、家屋の冷暖房の完備と密閉化、ダニやカビが繁殖し易い絨毯の普及、家の中で飼育するペットの羽毛や毛垢による汚染、早期離乳(牛乳、卵、大豆)、人工化学物質の環境汚染、ディーゼル排気ガス粒子、黄砂、感染症の減少、寄生虫感染の激減、ストレス、食品添加物、防腐剤、新建材等々、環境の変化が重視されている。勿論、アレルギー性疾患が増え続けているのは疑う余地のない事実であり、これに多くの外因が関わっていることも間違いない。しかしこれらの研究は、抗原(アレルゲンという)になる外因と発症に至るメカニズムが中心で、抗原に曝されて発症しない内因については殆ど手付かずである。
私はアレルギー性疾患を予防する内因、換言すれば自己治癒力の根幹をなす自己防衛機能の免疫応答が正しく作動しない原因の一つに自然と隔離した文明生活が関わっていると考えている。実際、杉花粉症の罹患率には地域差があり、杉花粉の飛散量が少ない東京が28.7%と高く、多い九州、東北、四国を含めた全国平均の15.6%の2倍弱との報告がある。この花粉症の地域差は文明が生活環境からヒト本来の生活を奪ったことによる文明病としての側面がある。その中の免疫応答に及ぼす光線の作用に絞って述べるが、文明が太陽光線を浴びる機会を奪ったことが免疫応答の能力を低下させ、花粉症を含めてアレルギー性疾患の増加の一因になっている蓋然性を指摘したいのである。

■花粉症の起因花粉

花粉症は花粉が粘膜と接触して過剰な抗原抗体反応を起こすアレルギー疾患である。したがって広い範囲で観察される花粉症の花粉は、大量に放出され、風によって遠くまで飛び、強い抗原性を持つ風媒花の花粉である。花粉症の原因として杉やヒノキが良く知られているのに、同じ風媒花の松の花粉がその割に話題にならないのは抗原性が弱いからである。これらの条件から、花粉症は起因花粉が放出される期間に限って症状を認める季節的発症を示し、外部環境と接する眼、鼻、咽喉頭、気管支などの粘膜にアレルギー性の炎症を起こす疾患と言い換えることが出来る。
さて花粉症を起こす花粉として、
(1)、木本 : スギ、ヒノキ、シラカンバ、マツ、ケヤキ等。
(2)、イネ科草本 : カモガヤ、牧草、枯草等三百種以上
(3)、キク科草本 : ブタクサ、ヨモギ、除虫菊等
(4)、その他(クワ科草本等) : カナムグラ等
が知られている。

■花粉症の病態生理

免疫系には先天性に備わった自然免疫と進化の過程でヒト(脊椎動物)が獲得した抗原抗体反応を介する特異的処理システムの獲得免疫(マクロファージ、T細胞、B細胞)がある。獲得免疫の不全 (先天性免疫不全症、エイズ・後天性免疫不全症候群)があると、易感染性や悪性腫瘍の病因になることから明らかなように、基本的に自己に有利に作用するが、時に過剰に反応してアレルギー性疾患の病因になり、時に自己に反応して自己免疫疾患の病因になるように、自己に有害かつ不要な作用を及ぼす両刃の剣のような性格がある。そのため獲得免疫の低下に対しては免疫力を高め、過剰・異常反応では抑制する、正反対の働きをバランスよく保つ必要があるため免疫応答と呼ばれる。
花粉症はマクロファージが貪食した花粉を非自己、すなわち抗原として認識し、その情報をリンパ球のT細胞に伝え、T細胞はT細胞が分化したヘルパーT細胞を介してリンパ球のB細胞に伝え、B細胞は抗体産生性の遊走細胞で免疫グロブリンの産生を行う形質細胞(プラスマ細胞)に分化し、免疫グロブリン特異抗体のIgE抗体(レアギン)を生成するが、T細胞が分化したサプレッサーT細胞の干渉を受けて抑制される。花粉症の場合、このIgE抗体を過剰に産生、放出するため、このIgE抗体がさまざまな分泌顆粒(ヒスタミンなど)が細胞質内に充満している遊走細胞の肥満細胞(マスト細胞)の膜表面に結合することで感作が成立する。こうして感作された肥満細胞の膜表面に吸入した花粉が接触すると、肥満細胞の膜表面のIgE抗体と花粉が抗原抗体反応を起こして、分泌顆粒からヒスタミンが細胞外に放出されるため、鼻汁、鼻づまり、眼のかゆみ、流涙、咳、発熱など局所的炎症反応を伴うアレルギー反応を起こすのである。この反応は数秒から30分以内に起こるため、即時型アレルギーと呼ばれる。なお同様の機序で抗原抗体反応を起こすのは、気管支喘息、蕁麻疹、薬剤アレルギー(ペニシリンショック)などがあるが、他のアレルギー反応と区別するため、T型、レアギン型、アナフィラキシー型と呼ばれることもある。

■通常の花粉症の治療

西洋医学には未だ免疫応答を体質から改善する治療法はない。そのため花粉症で誰もが真っ先に思い付く風物詩はマスクと眼鏡ではないだろうか。杉花粉を例に述べれば、杉花粉の直径が30−40μm(マイクロメーター・百万分の一メーター)と比較的大きいため、抗原になる杉花粉の六分の五がマスクで回避でき、眼鏡で四分の三回が回避できるとされているからである。また症状を緩和する薬物療法としては、抗ヒスタミン剤、ステロイドなどを中心にした対症療法が用いられる。対症療法は花粉が飛散する二週間前から始めるとより有効とされているが、効果はその場限りで副作用もある。
アレルギー体質(アトピー素因)を改善する目的で使われているのは、減感作療法(抗原特異的免疫療法・かつて脱感作、除感作といった)である。その原理は、起因抗原、杉花粉症では杉の花粉を精製した抽出液(標準抗原として杉花粉治療エキスがある)の濃度を少しづつ上げて週一回の注射を繰り返し行い、肥満細胞に付着しているIgE抗体を消費することで、抗原に接した際に強い抗原抗体反応を起こさないようにすることにある。したがって杉花粉のように起因抗原が明らかな場合には効果が期待できるが、アナフィラキシーショックのような重篤な副作用を伴うことがあるので、注射後30分は待合室で待機させ、変化のないことを確認して帰宅させる。なお減感作療法の効果には個人差があり、効果を認めるには最低二年以上続ける必要があるが、三年続けて無効なら中止する。

■花粉症の光線療法

夏、日光浴をすると、冬、風邪を引かない、と言い伝えられてきた。これは経験的事実に基づく知恵であるが、光線には免疫力を向上させる作用があることを如実に示している。光線療法を花粉症の予防、対策の観点から勧めるのも、免疫応答を調節する作用を信じるからである。
自然の摂理は生命体が光線の降り注ぐ環境下で進化する過程で、免疫応答を調節する必須栄養素のビタミンDの生成を光線に委ねたのである。ビタミンDの二大作用は、カルシウム代謝調節作用と細胞分化誘導作用であるが、これらの作用は獲得免疫の免疫応答を正しく作動させる上で欠かせないことが学理的に立証されている。
カルシウム代謝調節作用は、カルシウムの体内分布の恒常性(ホメオスタシィス)、すなわち細胞内カルシウム濃度を細胞外カルシウム濃度の一万分の一に保ち、カルシウムパラドックスを予防することで、身体を構成する60兆といわれる細胞間の情報交換を円滑に行い、それぞれの細胞が役割分担に応じて正常に作動することを助けている。免疫担当細胞は多種多様な一兆の細胞からなるが、カルシウムパラドックスがあると、個々の細胞が自身の役割を果たせなくなるだけでなく、情報を交換するためのサイトカイン(インターロイキン)を分泌して、全体として一糸乱れず相互に連携して免疫応答を保つことが難しくなる。
ビタミンDの細胞分化誘導作用の受け皿になるビタミンD受容体は全身組織に及ぶが、免疫系では免疫担当細胞に直接作用して細胞分化を促し、免疫力を高めることが明らかにされている。すなわちビタミンD受容体は血液幹細胞、貪食細胞のマクロファージ、免疫を司るリンパ球のT細胞やB細胞にあり、単球からマクロファージへの分化やT細胞のヘルパーT細胞への分化を促し、またヘルパーT細胞に直接作用してインターロイキン2やガンマーインターフェロンのようなサイトカインを産生し、免疫担当細胞の情報交換を円滑にすることを助け、それぞれの機能を発揮するように誘導し、免疫応答を調節する。
次に免疫応答を調節する代表的な作用に触れておく。さまざまな疾患でCD4抗原を有するヘルパーT細胞とCD8抗原を有するサプレッサーT細胞の比に異常が起きるが、ビタミンDはTリンパ球のうちCD3抗原を有する全Tリンパ球の増殖能を低下させ、ヘルパーT細胞/サプレッサーT細胞比を正常化する。これらの作用は抗原に対する過剰な反応を抑制し、抗原抗体反応を制御する方向で作用すると考えられる。

■おわりに

光線療法は医の原点と言っても過言でない自己治癒力を信じ、自己治癒力の向上を図ることで病を克服する、原則として無害有効な治療法であり、花粉症では内因から体質を改善する効果が期待できると考えているが、そのためには花粉が飛散する時期だけでなく、日頃から日常的に光線療法を行うことが求められる。実際、他疾患で光線療法を続けていて、花粉が飛散する時期に症状が軽くて済んだ例や殆ど出なくて済んだ例を経験している。なお花粉が飛散し始めてからでも効果は期待できるので、健康法を兼ねた治療法として、有効性を体感されることを願って止まない。

 

 

太陽光線と生命 光線療法について 全国の取扱店 お客様の声 光の医学について