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 2008/11/20 静岡グランシップ 講師 医学博士 宇都宮光明


 免疫応答は自然治癒力の要(自己再生機能と自己防衛機能)


■自然治癒力とは?

生命には生命の存続に欠かせない神秘的な優れた能力、生命力の根幹に関わる自然治癒力が備わっていることは明白である。通常、自然治癒力は創傷治癒(自己再生機能) や免疫応答(自己防衛機能)やホメオスタシス(恒常性維持機能)など生来備わっている能力の意味合いで使われているが、自然治癒力の本態は決して固定したものではなく、生活習慣、ストレスなどさまざまな要因により変動する動的な能力であることが明らかにされている。この自然治癒力の要が、近年、さまざまな新発見が続いている免疫系であり、免疫系が的確、適切に応答するホメオスタシスを保つことである。
免疫系には先天的に備わっている自然免疫と後天的に獲得する獲得免疫があるが、免疫を担当する細胞間で情報交換を行い、あるいは神経系、内分泌系と密接なネットワークを形成して、細菌やウイルスと闘う感染抵抗性、アレルギー性疾患や自己免疫疾患の予防、癌細胞を撃退する免疫監視機構など健康維持に必須の働きをしている。
ところで医学の祖と尊崇されているヒポクラテス(前460頃―前375頃)は、病には自然なる原因があり、病を治す自然治癒力を重視したことで知られるが、治療に積極的に日光療法を取り入れたのは、太陽光線に自然治癒力を向上させる作用があることを察知していたからであろう。今回のアーク光線研修会では、アーク光線が自然治癒力を向上させる作用について、これまでに解明されている免疫系に及ぼす所見を中心に考察する。

■自然免疫とアーク光線

自然免疫はすべての多細胞生物に存在する非特異的な生体防御機構(植物のファイトアレキシン・昆虫の抗菌ペプチドなど)であるが、病原体を即座に認識して攻撃を仕掛ける免疫系である。かつてヒトの自然免疫はヒトが獲得免疫で病原体と闘うまでの空白の時間の埋め合わせをするに過ぎないと考えられていたが、近年、あらゆる面から自然免疫の重要性を裏付ける研究が相次ぎ、自然免疫は獲得免疫の補助的な免疫システムとの考えは修正を余儀なくされた。
すなわち自然免疫は顆粒球(好中球)の食菌作用、リゾチームなどのような体液による防御のように以前から知られていたものだけでなく、免疫担当細胞間の情報交換や神経系、内分泌系とネットワークを作るインターロイキン(例えばマクロファージなどが産生するインターロイキン1は免疫系、炎症系、中枢神経系、内分泌系など広範囲に情報交換を行い、生体防御反応を引き出すと考えられている。なおインターロイキン1は視床下部、下垂体、副腎皮質系に作用してコルチゾールの分泌を促すが、コルチゾールは免疫系に抑制的に作用してインターロイキン1の放出を止めるフィードバック機構がある。)や免疫応答を調節する作用やウイルスの増殖を抑制する抗ウイルス作用があるインターフェロンなどサイトカインと総称される生理活性物質、腫瘍細胞や腫瘍内新生血管を傷害し腫瘍の増殖を抑制する作用があるが正常細胞は傷害しない腫瘍壊死因子(TNF)と呼ばれる生物学的応答を調節する物質、マクロファージや樹状細胞の食作用(食作用で取り込んだ非自己を消化する。なお同時に抗原として認識し獲得免疫をになうTリンパ球に提示して抗体産生のメカニズムを起動させる)、補体(自然抗体)の食作用促進、癌細胞やウイルス感染細胞を即座に非自己として認識して食作用により除去するリンパ球のNK細胞による免疫監視機構などが明らかにされた。中でも種々の腫瘍細胞やウイルス感染細胞を殺すNK細胞の発見は画期的である。NK細胞はNatural(自然)Killer(殺傷力)細胞の略であるが、通常約50億個のNK細胞が常に体中をパトロールして癌細胞やウイルス感染細胞の監視と殺傷を行う役割を果たしている。具体的に言えば癌細胞に取り付いてその場で即座に排除するので、NK細胞活性の高い人は癌になりにくく、転移もしにくいことから、癌の予防と治療に重要な役割を果たしている。
ところでアーク光線には、透過性に優れた輻射線(主に近赤外線)の輻射熱で身体を深部から温める作用があるが、このアーク光線の温熱刺激で遺伝子発現が誘導され、熱ショック蛋白質(ストレスでも誘導され、ストレスに対する抵抗性を高める観点からストレス蛋白質と呼ばれることもあるが、温熱刺激で産出量が約100倍と著しく増加するため熱ショック蛋白質の呼称が一般化している)が生成される。この熱ショック蛋白質には自然免疫を賦活する作用があり、例えばNK細胞の細胞障害活性を高めるなど生体防御機構を活性化させることが最近の研究で明らかにされている。
なお熱ショック蛋白質は細菌から哺乳類まで共通に認めるが、自然免疫を賦活し活性化するだけでなく、あらゆるストレス刺激に応答してストレスに対する耐性を誘導して細胞を保護し(医療行為に伴う薬の副作用や侵襲を予防)、生物の構成成分で機能を支配する蛋白質の構造上の間違いや変性を正常な構造に戻すように働いて機能障害を正常化するシャペロン機能などを有する内因性生体防御効果に優れた一群の蛋白質であるが、赤外線加温器で生成されることが明らかにされており、アーク光線のさまざまな治療効果に関連するところが大きいと考えられる。

獲得免疫とアーク光線

獲得免疫は進化に呼応して獲得した後天性の免疫システムで、脊椎動物だけにあり、マクロファージや樹状細胞が食作用で取り込んだ細菌、ウイルス、毒素、花粉、異種蛋白など自己にあらざるもの(非自己)を抗原と認識して抗体を産生し、抗原抗体反応で非自己を撃退する特異的な高次の免疫応答である。この高度の抗原特異性を獲得した獲得免疫が機能しない先天性免疫不全、免疫能が著しく低下する後天性免疫不全症候群(エイズ)、同じく免疫能が低下する抗癌剤による治療を受けている人などでは、日和見感染や癌に罹りやすくなる。しかしその一方で獲得免疫が外来抗原に過剰に反応して暴走するとアレルギー性疾患の病因になり、本来は反応しない自己の細胞に異常に反応すると自己免疫疾患の病因になるため、免疫応答、すなわち抗原抗体反応のホメオスタシス、換言すれば免疫系が的確、適切に応答しなければならない。
獲得免疫には細胞性免疫と液性免疫の二つの免疫機序がある。マクロファージや樹状細胞が貪食して得た非自己情報、すなわち抗原情報はまず司令細胞であるリンパ系細胞のT細胞に伝えられる。T細胞は特異的抗原に反応して、直接抗原を攻撃するキラーT細胞(細胞障害性T細胞)とサイトカインを産生、放出するサイトカイン産生型T細胞に分化して抗原障害性に働くのが細胞性免疫である。液性免疫はT細胞がヘルパーT細胞に分化し、ヘルパーT細胞が特定の抗原に対する抗体を特異的に産生するB細胞に情報を伝え、B細胞が形質細胞に分化して免疫グロブリン抗体を生成するが、抗体の生成が過剰にならないようにT細胞が分化したサプレッサーT細胞の干渉を受けて抑制される。またT細胞、B細胞には抗原情報を記憶する能力があり、再度抗原にさらされた場合、速やかに抗体を産生して免疫応答を立ち上げるのであるが、これをブースター(押し上げ)効果と呼ぶ。
昨今、高病原性トリインフルエンザウイルスがヒト型に変異して、パンデミック、すなわち世界規模の爆発的流行を来たし、多数の死者が出ることが懸念されているが、これまでに経験したことがない新型ウイルスのため抗体はなく、免疫細胞に記憶がないため、ブースター効果も期待できないからである。そのためわが国では、抗インフルエンザウイルス薬のタミフルの備蓄、高病原性トリインフルエンザウイルスを用いたプレパンデミックワクチンの製造が行われているが、最後の砦として忘れてならないことは、私たちの身体には自然免疫と新型ウイルスを抗原として認識して抗体を作って闘う獲得免疫の能力が生まれながらにして備わっていることである。
さて夏、日光浴をすると、冬、風邪を引かない、という言い伝えがある。言わば経験に基づく知恵であるが、アーク光線の獲得免疫に及ぼす作用は、紫外線の光化学作用で生成されるビタミンDの二大作用、すなわち細胞分化誘導作用とカルシウム代謝調節作用が関わっている。
血液中のすべての有形成分は骨髄にある一種類の多能性幹細胞と呼ばれる造血幹細胞から分化する。すなわち造血幹細胞がリンパ系幹細胞とマルチ系幹細胞に分化し、前者からリンパ球のT細胞、B細胞、NK細胞が、後者からマクロファージ、顆粒球(好中球90%以上、好酸球、好塩基球)、赤血球、血小板が生じる。免疫系は約一兆といわれる免疫担当細胞が役割分担に応じて相互に情報を交換し連携して作動するが、この細胞の分化を誘導する受け皿になるビタミンD受容体は、胸腺内成熟T細胞、活性化した末梢T細胞、マクロファージ、B細胞にあり、ビタミンDが直接作用して細胞分化を誘導して免疫応答に備えている。すなわちビタミンDは単球からマクロファージへの分化、リンパ系幹細胞からリンパ球のT細胞、B細胞への分化、T細胞のヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞への分化を誘導し、免疫応答を調整する。具体例を挙げれば、さまざまな免疫疾患でT4抗原を有するヘルパーT細胞に対しT8抗原を有するサプレッサーT細胞の機能低下があるが、ビタミンDはサプレッサーT細胞の機能低下を予防することが報告されている。
またカルシウムは身体を構成する60兆といわれる細胞間の情報伝達を円滑に行い、それぞれの細胞が正常に作動することを司っているが、そのためには細胞内カルシウム濃度を細胞外カルシウム濃度の一万分の一に保つカルシウムの体内分布のホメオスタシィスを保つ必要がある。しかるにビタミンDが不足するとカルシウムの摂取量が満たされていてもカルシウムは吸収されないため、不足したカルシウムを補おうと副甲状腺ホルモンのパラソルモン(続発性副甲状腺機能亢進症)が働いて骨からカルシウムの溶出を促し(骨吸収)、過剰に溶け出たカルシウムが血漿中から組織内、細胞内に移行してカルシウムパラドックスを起こし、免疫担当細胞の機能を阻害する。例示すれば免疫情報を交換するサイトカイン、マクロファージが産生するメッセンジャー(情報伝達)コントロール(制御)物質として、免疫担当細胞間の情報交換を密にし、その活性化、成長、分化をコントロールするという重要な働きをしているインターロイキン1、活性化T細胞が産生するインターロイキン2やガンマーインターフェロンの放出など、それぞれの細胞が正常に機能することができなくなる蓋然性を指摘したい。なおサイトカインの産生、放出については条件によっては促進、抑制の二面性が指摘されているが、これらの作用は抗原抗体反応を制御していると考えられている。
付・癌の LAK療法 ・ LAKはLymphokine activated killer 細胞の略。
患者の白血球からリンパ球を採取し、インターロイキン2を加えて培養してLAK細胞を誘導し、癌治療に用いる癌の免疫療法。

■アーク光線を暮らしに

生命には、自己の身体に起きたあらゆる事象を即座に的確に診断する能力があり、即座に治癒機転を促す自然治癒力が備わっている。例示すれば、外傷は神経系が即座に診断して自己に知らせる同時に、局所で炎症反応を起こして治癒を促すのであるが、免疫系が関与して感染を防げば速やかに治癒する。また癌にならずに済んでいるのは、細胞が発癌遺伝子細胞に変異したことを免疫監視機構がキャッチして除去するからである。すなわち自然治癒力の中核的な位置にあるのが免疫応答であるが、免疫能はシーソーのように上下に変動するものとして捉えなければならない。近年、著しく進歩した精神神経免疫学は、ストレスが自然治癒力に大きく関係することを明らかにしたが(病は気から)、病気になるかならないか、病気になって治るか治らないかを決めるのは、自然治癒力が病勢を上回るか否かによって決まる部分が極めて大きいことを示している。
ところで免疫系が密接に関係する疾患には、感染症、アレルギー性疾患、自己免疫疾患がある。結核やマラリアなど耐性菌の問題が浮き彫りになっている感染症では免疫を高めることが求められ、増え続けているアレルギー性疾患では免疫系が抗原に過剰に反応しているので逆に免疫を抑制することが求められ、難病とされる慢性病の多くが含まれている自己免疫疾患では本来抗原に成らない自己の組織を抗原として認識し抗体を生成するので免疫を調整(抑制)することが求められる。このように免疫応答は状況に応じて、免疫反応が必要な場合には誘発し、逆に免疫反応が過剰な、あるいは異常な場合にはそれを抑制する、見方によっては全く正反対と思われる作用をするものでなければならない。この問題を解決できるのは生命に備わった自然治癒力、すなわち免疫応答を状況に合わせて自在に制御し管理し調整する能力しかない。
アーク光線が自然治癒力の要の免疫応答を調整する作用について、近赤外線の温熱作用で内因性生体防御作用に優れ自然免疫を賦活し活性化する熱ショック蛋白質が生成されること、紫外線で生成されるビタミンDの細胞分化誘導作用で免疫担当細胞の分化が促されること、また免疫系が正常に機能するにはカルシウム代謝調節作用でカルシウムパラドックスを予防する必要があることを中心に述べたが、アーク光線には他にも自律神経、内分泌系の機能を調整する作用などのさまざまな作用があり、これらが協調して生命に備わった神秘的能力の自然治癒力を向上させ、健康を守り、病を未然に防ぎ、病を癒すことに大きく関わっているのである。
冒頭でヒポクラテスが自然治癒力を重視し、治療に積極的に日光療法を取り入れた話をしたが、ヒポクラテスは地球に生息するすべての生き物は太陽光線の恵みを受けた自然の摂理によって生命を授かっている、学問以前のこの単純にして明快な真理に気付いていたからであろう。
最後に人工小型太陽のアーク光線を暮らしに取り入れることで、自然治癒力が向上することを信じて手に入れられることを願って話を終えたい。

 

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