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 2007/4/16  静岡グランシップ 講師 医学博士 宇都宮光明

 [花粉症] [アレルギー]

■増え続けるアレルギー性疾患
世界的にアレルギー性疾患は増加しており、この傾向は特に先進国に於いて顕著である。わが国でも花粉症(枯草熱)は今次大戦前には皆無に近いか、あっても極めて稀とされていたが、昭和40年代に入ってから増加の一途をたどり、今では杉花粉症だけでも人口の10%を超えた。特に都市部で患者が急増しているが、戦後に国の奨励で植林された杉の人工林が急増し、その大半が開花して花粉を飛散する樹齢30〜40年になったことと地表がアスファルト舗装のため花粉が遠くまで飛ぶためとされている(花粉量は九州、東北、四国で高いが、花粉症の発症率は東京28.7%で全国平均15.6%の2倍弱との報告がある)。
花粉症を含めアレルギー性疾患が増加した理由として、環境の変化が指摘されている。食事の西欧化、家屋の密閉化と冷暖房の完備、ダニやカビが繁殖し易い絨毯の普及、家の中で飼育するペットの羽毛や毛垢による汚染、早期離乳(牛乳、卵、大豆)、人工化学物質の環境汚染、ディーゼル排気ガス粒子、黄砂、感染症の減少、寄生虫感染の激減、ストレス、食品添加物、防腐剤、新建材等々枚挙にいとまがない。
しかしこれまでの研究の多くは、抗原(アレルゲンという)になる外因の検索と発症に至るメカニズムが中心で、アレルゲンに曝されて発症しない内因(無病)のメカニズムは殆ど手付かずである。これは現代西洋医学が特定病因論をドグマに進歩したことからやむを得ない面があるが、私は文明生活が太陽光線を浴びる機会を奪ったことが生命力を弱め、アレルギー性疾患の増加につながった蓋然性について推論し、諸賢にご判断を委ねたい。

■アレルギー性疾患とは?
アレルギー性疾患について述べる前に免疫系の概要を簡略に述べる。免疫はすべての生命体に先天性に備わった抗原抗体反応を介さない自然免疫(NK細胞、リゾチームなど)と進化の過程で人(脊椎動物のみ)に備わった高次の免疫システムで抗原抗体反応を介す特異的処理システムの獲得免疫に分けられる。獲得免疫には液性免疫と細胞性免疫がある。液性免疫は食細胞のマクロファージ(樹状細胞) が貪食したものを自己(self)か非自己(non-self・異物)か峻別し、非自己と認識し処理し切れないと判断すると、その情報を抗原としてリンパ球のT細胞に伝え、T細胞はT細胞が分化したヘルパーT細胞を介してリンパ球のB細胞に伝え、B細胞は形質細胞(プラスマ細胞)に分化して免疫グロブリン抗体(IgG、IgA、IgM、IgD、IgE)を生成するが、T細胞が分化したサプレッサーT細胞の干渉を受けて抑制される。細胞性免疫はT細胞が抗原情報に対応して細胞障害型T細胞やサイトカイン産生T細胞のような抗原障害性に作用する感作リンパ球に分化する。このように獲得免疫は非自己を抗原として抗体を生成し、抗原抗体反応で自己防衛をするが、適正に過不足なく反応する必要性から免疫応答と呼ばれる。
獲得免疫の免疫応答を疾病予防に利用したものが予防接種であり、免疫不全は易感染性や悪性腫瘍の病因になる(先天性免疫不全症、エイズ・後天性免疫不全症候群、日和見感染)ことから明らかなように、本来、自己に有利に作用するものであるが、時に免疫応答が過剰反応してアレルギー性疾患の原因になり、時に免疫応答が自己に反応して自己免疫疾患の原因になるように、自己に有害かつ不要な作用を及ぼす両刃の剣のような性格がある。
すなわちアレルギー性疾患は獲得免疫の免疫応答が抗原刺激に過剰反応したことによって起こるのであり、そのため過敏症とも呼ばれるが、次の四種の病態がある。
T型、レアギン型、アナフィラキシー型。
花粉症、気管支喘息、蕁麻疹、薬剤アレルギー(ペニシリンショック)など。
アレルゲンと特異抗体(IgE抗体・レアギンと言う)の間の抗原抗体が数秒から30分以内に起こるため、即時型アレルギーと呼ばれる。
U型、細胞溶解型。
 薬による血球傷害、異型輸血など。
 細胞膜の抗原に抗体(IgGやIgM)と補体が作用して細胞膜が壊れる。
V型、免疫結合体型、アルチュス型。
 腎炎、膠原病、血清病、アレルギー性肺炎など。
 抗原と抗体(IgGやIgM)が反応して出来た抗原抗体結合物が血管に沈着して血管を傷害する。アルチュスはフランスの生理学者。
W型、細胞免疫型、ツベルクリン型。
 ツベルクリン反応、接触性皮膚炎、臓器移植の拒絶反応など。
 抗原と抗体の働きをする感作リンパ球(T細胞)の反応で起こり、免疫グロブリンは関わらない。反応は24〜48時間で最高になるため、遅延型アレルギーと呼ばれる。

■花粉症の起因花粉
花粉症は花粉が粘膜と接触して抗原抗体反応を起こすT型アレルギー疾患である。したがって広い範囲で観察される花粉症の花粉は、大量に放出され、風によって遠くまで飛び、強い抗原性を持つ風媒花の花粉である。花粉症の原因として杉やヒノキの花粉が良く知られているのに、松の花粉がその割に話題にならないのは抗原性が弱いからである。
これらの条件から、花粉症は起因花粉が放出される期間に限って症状を認める季節的発症を示し、外部環境と接する眼、鼻、咽喉頭、気管支などの粘膜にアレルギー性の炎症を起こす疾患と言い換えることが出来る。
 さて花粉症を起こす花粉には、
(1)、木本 : スギ、ヒノキ、シラカンバ、マツ、ケヤキ等。
(2)、イネ科草本 : カモガヤ、牧草、枯草等三百種以上
(3)、キク科草本 : ブタクサ、ヨモギ、除虫菊等
(4)、その他(クワ科草本等) : カナムグラ等
が知られている。

花粉症の病態生理
花粉症が発症するまでの経緯は、前述したように、花粉を抗原として認識したリンパ球のB細胞が抗体産生性の遊走細胞で免疫グロブリンの産生を行う形質細胞に分化し、免疫グロブリン特異抗体、すなわちIgE抗体(レアギン)を産生し、放出する。このIgE抗体が、さまざまな分泌顆粒(ヒスタミンなど)が細胞質内に充満している遊走細胞の肥満細胞(マスト細胞)の膜表面に結合することで感作される。こうして感作された肥満細胞の膜表面に吸入した花粉が接触すると、肥満細胞の膜表面のIgE抗体と花粉が反応して、分泌顆粒からヒスタミンが放出されるため、鼻汁、鼻づまり、眼のかゆみ、流涙、咳、発熱など局所的炎症反応を伴うアレルギー反応を引き起こすのである。

■花粉症の治療
近年になって花粉症を始め、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患が激増したが、未だ免疫応答を調整する治療法はない。そのため杉花粉症の治療で誰もが真っ先に思い付くのはマスクと眼鏡ではないだろうか。杉花粉が飛ぶと、マスクだらけになるのは見慣れた風物詩になった。これは杉花粉の直径が30−40μm(マイクロメーター・百万分の一メーター)と比較的大きいため、抗原になる杉花粉の六分の五がマスクで回避でき、眼鏡で四分の三回が回避できるとされているからである。また症状を緩和する薬物療法としては、抗ヒスタミン剤を中心にした対症療法が用いられる。対症療法は花粉が飛散する二週間前から始めるとより有効とされているが、効果はその場限りで副作用もある。アレルギー体質(アトピー素因)を改善する目的で広く使われているのは、減感作療法(抗原特異的免疫療法・かつて脱感作、除感作といった)である。減感作療法の歴史は古く、1898年にカーティスが枯草熱(花粉症の原因が明らかにされる前の病名)の治療に使ったのが最初とされているが、その後、改良を加えて今日に至った。その原理は、起因抗原、杉花粉症では杉の花粉を精製した抽出液(標準抗原として杉花粉治療エキスがある)の濃度を少しづつ上げて週一回の注射を繰り返し行い、肥満細胞に付着しているIgE抗体を消費することで、抗原に接した際に強い抗原抗体反応を起こさないように身体を花粉に慣らして改善することにある。したがって起因抗原が明らかな場合には効果が期待できるが、アナフィラキシーショックのような重篤な副作用を伴うことがあるので、注射後30分は待合室で待機させ、変化のないことを確認して帰宅させる。なお減感作療法の効果には個人差があり、効果を認めるには最低二年以上続ける必要があるが、三年続けて無効なら中止する。

■花粉症の光線療法
病気の治療法を考える時、大きく二つの流れがある。その一つは現代西洋医学が目指す特定病因論に基づく特異的治療法で、花粉症の治療で述べたように、確定診断に基づいて異なる治療法が選択されるが、原則として有害有効である。これに対しもう一つの治療法は、医の原点と言っても過言でない自然治癒力を信じ、自然治癒力の向上を図ることで病を克服する、原則として無害有効な治療法で、非特異的治療法と呼ばれる。光線療法の立場は後者であり、光線に独自の作用でアレルギー体質を改善し、内因からアレルギー性疾患の治療に益する効果を期待するのである。
夏、日光浴をすると、冬、風邪を引かない、と言い伝えられてきた。これは経験的事実に基づく知恵であるが、光線には自身に備わった免疫力を向上させる作用があることを如実に示している。光線療法を予防医学の観点から健康法として勧めるのも、感染症やアレルギー性疾患や自己免疫疾患の治療に勧めるのも、生命体が光線の降り注ぐ環境下で進化する過程で、自然の摂理は自然治癒力の根幹をなす免疫系を調節する必須栄養素のビタミンDの生成を光線に委ねたのである。すなわち現在明らかにされているビタミンDの二大作用は、カルシウム代謝調節作用と細胞分化誘導作用であるが、これらの作用は獲得免疫の免疫応答を正しく作動させる上で欠かせないことが学理的に立証されている。カルシウム代謝調節作用は、カルシウムの体内分布の恒常性(ホメオスタシィス)、すなわち細胞内カルシウム濃度を細胞外カルシウム濃度の一万分の一に保ち、カルシウムパラドックスを予防することで、身体を構成する60兆といわれる細胞間の情報交換を円滑に行い、それぞれの細胞が役割分担に応じて正常に作動することを助けている。免疫担当細胞は多種多様な一兆の細胞からなるが、カルシウムパラドックスがあると、個々の細胞が自身の役割を果たすだけでなく、情報を交換するためのサイトカインを分泌して、全体として一糸乱れず相互に連携して免疫応答を保つことが難しくなる。
ビタミンDの細胞分化誘導作用の受け皿になるビタミンD受容体は全身組織に及ぶが、免疫系では免疫担当細胞に直接作用して細胞分化を促し、免疫を調節することが明らかにされている。すなわちビタミンD受容体は血液幹細胞、自己か非自己かを見極める貪食細胞のマクロファージ(樹状細胞)、免疫を司るリンパ球のT細胞やB細胞にあり、単球のマクロファージへの分化やT細胞のヘルパーT細胞への分化を促し、またヘルパーT細胞に直接作用してインターロイキン2やガンマーインターフェロンのようなサイトカインを産生し、免疫担当細胞の情報交換を円滑にすることを助け、それぞれの機能を発揮するように誘導し、免疫応答を調節する。
やや専門的になるが、免疫応答を調節する代表的な作用に触れておく。さまざまな疾患でCD4抗原を有するヘルパーT細胞とCD8抗原を有するサプレッサーT細胞の比に異常が起きるが、ビタミンDはTリンパ球のうちCD3抗原を有する全Tリンパ球の増殖能を低下させ、ヘルパーT細胞/サプレッサーT細胞比を正常化する。これらの作用は抗原に対する過剰な反応を抑制し、抗原抗体反応を制御する方向で作用すると考えられる。
以上、述べたように光線療法には内因から体質を改善する効果が期待できると考えているが、そのためには花粉が飛散する時期だけでなく、日頃から日常的に光線療法を行うことが求められる。実際、他疾患で光線療法を続けていて、花粉が飛散する時期に症状が軽くて済んだ例や殆ど出なくて済んだ例を経験している。また花粉が飛散し始めてからでも効果は期待できるので、健康法を兼ねた無害有効な治療法として、有効性を体感されることを願って止まない。


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